受験を振り返る

今年の受験は例年にない不安が付きまといました。原因は、あの忌まわしいコロナです。
これのせいで生徒たちの学校生活そのものが大きな影響を受け、どう控えめに見ても、いびつな授業進行であったことは否めないでしょう。学校の先生方のご苦労も相当だったと思います。

私たちの教室でも、こういう状況下、年度終わりに各受験生たちの合格の笑顔を見るために、例年にはない工夫や努力をどう組み合わせ、積み重ねていくかについて、連日みなで検討しました。検討して実行に移し、その過程でこれに微調整を加えてよりよくするということの繰り返しでした。

結果だけを見れば、私立中受験、高校受験全体で、すべての受験生達の合格という、これ以上ない素晴らしいゴールではありました。

成功要因の第一は、他でもない各受験生達自身の頑張りにあったでしょう。
学校の先生方の、きっと大いに苦労されたであろう学習指導ももちろんあったと思います。
私達のやり方も良かった。ここは素直にそう言って良いと、特に今年は思います。

受験生達をあらためて眺めると、みなそれぞれに異なる入会の仕方をしてきたことに改めて気が付きます。
受験があることをしっかりと視野に入れて、小学4年生から難しい四谷の予習シリーズに取り組んできた子、同じように中学入学早々に高校受験を意識した勉強に取り組み始めた子。
2年生から入ってきた子もいましたし、なんと3年生の秋から始めた子さえいました。

受験勉強を始める時、これに最適な時期、または適すると考えて差し支えない範囲の中の時期、このいずれかの時期に始めないと、まったく不可能とは言いませんが、その成功は非常に難しくなると私は思います。

普通、この範囲の限界は高校受験の場合、中学3年の夏休みが始まるまでです。最適とはとても言えませんが、ぎりぎりここまでならまだどうにかなる、何とかできるポイントではあります。

夏休みの時点では、既に2年生の内申はもちろん出ていますし、3年生の前期の成績のための前期中間テストが既に終わっていますので、残るテストのチャンスは9月の前期末テスト、11月の後期中間テストの2回しかありません。それでも、まだ2回ある。

仮に、夏休みが終わった後から始めても、テストでポイントを稼ぐチャンスは、その時点でさらに減っています。上に書いた、3年生の秋から始めた子いうのは、たとえそれには事情があったにせよ、こうしたハンディキャップ初めからあったわけです。

高校入試を考えたとき、勿論やることはこうしたテストに向けた対策だけではありません。
学校の提出物を全科目、しっかり中身を完成させて期日内に出し続けるという地道な姿勢と行動が必要です。
その時点で残っている定期テストの出題範囲に特化した勉強の積み上げも必要です。
高校入試は、その出題形式が中学校の定期テスト等のそれと明確に異なりますし、その範囲は広く、奥も深く、覚えておくべきことの量も多いので、早い時期からこれに取り組まなければ、後になればばるほどやることが多く時間は少ないというパラドックスにはまってしまい、生活そのものがタイトになります。

繰り返します。
何もしなくても年齢は自動的に上がって行き、中学3年、15歳になればみな高校受験に臨まなければなりません。
そこには異見を差し挟む余地はありません(就職組、或いはフリーター志向であるなら、それはそれで話は別ですが)。

そういえば、去年の秋、もう前期末テストも終わったある日、3年生の子が保護者と一緒にやってきて、長い間不登校をしているが、今から高校受験の戦線に加わることができるかと尋ねられました。
毎年、所謂不登校の子が、この時期になるとやはり回りの空気をシビアに感じ始めて塾の話を聞きにやってきます。しかし、不登校の理由や事情が何であれ、所謂底辺高、或いは定員割れ高を狙う等は別として、ここから始めるのは上に書いた理由で大変難しいし、それは殆ど不可能と同義語といえます。厳しいでしょうか。でも、これが現実です。

以上、受験勉強(だけに限った話ではないですが)は、これを始めるのに最適な時、もしくは適すると考えて差し支えない範囲内の時期からこれを始めることが成功への最初のステップであることを、これから受験する皆さんには是非とも覚えておいて頂ければと思う次第です。当たり前のことなのですが。





 トップページに戻る